時効の中断

日本の時効制度と同じように、オーストラリアの時効制度にも「時効の中断」という概念があり、ある一定の事由(時効中断事由)が発生した場合、時効期間のカウントはリセットされ、時効中断事由の発生日から再度カウントされることになります。

主たる時効中断事由には、「承認」(Acknowledgment)と「一部支払い」(Part payment)があります。「承認」とは、時効の対象となっている債務について当該債務を負っている者が当該債務の存在を認めることをいいます。この債務の承認は書面でなされなければならず、また、当該債務者による署名が必要になります。「一部支払い」とは、時効の対象となっている債務について当該債務を負っている者が当該債務の一部を支払うことをいいます。

 

前回に説明したとおり、時効の制度は州法が管轄する事項ですが、上記の「承認」と「一部支払い」が時効中断事由であるという点については、いずれの州の法律もほぼ同じとなっています。

 

なお、日本法と異なり、オーストラリア法では、裁判外の請求(催告)によって時効の完成を遅らせることはできません。時効の完成前に上記の「承認」や「一部支払い」といった時効の中断を行えない場合には、裁判上の請求をしなければ(すなわち、裁判手続を開始して請求を行わなければ)時効が完成してしまいます。