オーストラリアにおける資産調査方法

これまでにオーストラリアの公的情報の入手方法をいくつか説明してきましたが、これらの公的情報は、個人や会社の名前を入力して検索をすることができるようになっています。たとえば、会社、不動産等の登記情報について、個人の名前を入力して検索を行った場合、当該個人が取締役や株主になっている会社、又は当該個人が所有している不動産の情報を入手することができます。

 

これによって、当該個人がオーストラリアでどのような会社を経営しているのか(当該個人が取締役又は株主となっている会社は当該個人が経営に参加していると考えられます)、当該個人がどのような不動産を所有しているのかといった情報を得ることができ、ちょっとした資産調査を行うことができます。

 

実際にあった例として、日本在住の日本人が同じく日本在住のオーストラリア人に対して契約違反に基づく損害賠償請求に関する訴訟を日本で起こそうと考えており、相手方となるオーストラリア人が損賠賠償を支払えるだけの資産を持っているかを確認する必要がありました(相手方が資産を持っていなければ、訴訟で損賠賠償を認める判決を取得しても相手方は損害賠償を支払うことができず、判決は絵に描いた餅となってしまうため)。

 

そこで、この相手方のオーストラリア人の名前を入力して不動産登記情報の検索を行ったところ、このオーストラリア人はオーストラリアに複数の不動産を有していることが判明しました。相手方が資産を有していることが確認できたので、日本人は相手方に対して日本で訴訟を起こすことにしました。日本で勝訴判決を得ても、当該判決をオーストラリアで執行するためにはオーストラリアにおける外国判決執行の手続が必要になるのですが、これについてはこちらの記事をご参照ください。