Privilege(秘匿特権)について(2)

前回からの続きです。

(2)Privilege against Self-incrimination

Privilege against Self-incriminationは、自身が刑罰を受けることに直接的又は間接的につながる可能性のある事項については、供述又は書類の提出を拒否することができるという権利であり、日本でいう自己負罪拒否特権がこれにあたります。ただし、このPrivilege against Self-incriminationは自然人にのみ適用され、法人には適用されません。また、このPrivilege against Self-incriminationが適用されるためには、供述又は書類が提出されることによって本人が起訴される合理的な可能性がなければならないとされています。

(3)Without Prejudice Privilege

Without Prejudice Privilegeは、和解交渉において紛争を解決する目的で行われたコミュニケーションについて、裁判におけるDiscovery手続の際に開示を拒むことができるというものです。和解交渉においては紛争を解決するために当事者から様々な譲歩の提案がなされるのが通常です。しかし、和解が不調に終わった際に、当事者が和解交渉において相手方から提案された譲歩を持ち出して自己に有利なように使用することができてしまうと、和解交渉において譲歩の提案がなされなくなって和解交渉が進まなくなってしまいます。そのため、このWithout Prejudice Privilegeが認められています。

Without Prejudice Privilegeの対象となる範囲を明確にするために、紛争の際における当事者間のコミュニケーションでは、通常のコミュニケーションと和解交渉のためのコミュニケーションを区分し、和解交渉のためのコミュニケーションについてはWithout Prejudiceという文言をメールやレターの冒頭に明示するのが一般的です。

 

Privilege(秘匿特権)については上記の3つ以外にも様々なものがありますので、Discoveryの際や当局から書類の提出を求められた場合には、Privilegeによって提出を拒むことができるのか否かを弁護士に確認することが必要です。