オーストラリア所在の財産について相続が適切に行なわれたことの確認方法

日本のクライアントから故人のオーストラリアの財産について適切に相続手続が行なわれたどうかについて調査したいという相談を受けたことがありました。たとえば、故人がオーストラリアの財産を全て故人の友人に遺贈してしまったと聞いているが、この遺贈が適切に行われたのか確認したいという日本の親族からの相談です(注:オーストラリアには遺留分の制度が無いため、基本的には故人は遺書で自由に財産を処分できるようになっています)。

オーストラリアの財産について適切な相続手続きが行われたのかについては、裁判所の訴訟事件登記簿を調べることである程度は調査ができます。

故人が遺書を残していない場合、オーストラリアに所在する故人の名義の財産(銀行預金や不動産)を相続人の名義に移すためには、裁判所に申請手続を行って裁判所からLetters of
Administrationを取得することが必要になります。

故人が遺書を残している場合は、基本的には、遺書で指名された遺言執行者(Executor)が遺書のとおりにオーストラリアに所在する故人の名義の財産を処分することになりますが、銀行は一定金額(銀行により異なるが一般には5万豪ドル)以上の預金を引き出す場合には、遺書が裁判所によって検認(Probate)されていることを要求してきます。したがって、遺書がある場合でも、遺言執行者は裁判所に申請手続を行ってProbateを取得することが必要になる場合が多くあります。

これらの裁判所からProbateLetters of Administrationの取得の裁判手続は、裁判所の訴訟事件登記簿に記録されているため、故人の名前で訴訟事件登記簿を検索すれば、当該故人の相続手続についてProbateLetters of Administrationがきちんと取得されているかを確認することができます。訴訟事件登記簿の調査方法については、以前のブログ記事を参照ください。