オーストラリアにおける区分所有法

オーストラリアにおいても、日本と同様に区分所有物件は存在します。区分所有物件の例として、マンション、タウンハウス、大規模商業施設等といったものがあります。

オーストラリアの不動産法は州法が管轄する分野であるため、区分所有法は州法によって規定されており、州毎に内容は異なっているのですが、オーストラリアの区分所有法の概要は以下のようなものとなっています。

区分所有物件は、日本と同様に、「専有部分(Strata Lot)」と「共用部分(Common Property)」に分かれています。専有部分(マンションの部屋、専用駐車スペース等)については各区分所有者が排他的に所有・利用でき、共用部分(廊下、階段、ロビー等)については区分所有者が全員で共有するものとなります。各専有部分と共用部分は、それぞれ個別に登記がなされ、個別の権利証書(Certificate
of Title
)が発行されます。

区分所有者はその所有する専有部分が区分所有物件全体に占める割合(持分割合:Unit Entitlement)に応じて区分所有物件に対する権利(物件管理に関する決定等)及び義務(管理費用の負担等)を有することになります。この持分割合は、必ずしも専有部分の床面積の割合のみによって定まるのではなく、その専有部分が区分所有物件全体に占める価値に応じて定められている場合が多いといえます。したがって、例えば、マンションの中で眺望の良い部屋の場合、同じ面積であるにもかかわらず、同じマンションの眺望の悪い部屋よりも、持分割合が高く設定されているということがあります。

不動産(土地及びその上の建物)を専有部分と共用部分に区分した区分所有図面(Strata Plan)を作成し、これを登記機関において登記することによって当該不動産は区分所有物件となり、当該不動産にかかる区分所有権が発生します。区分所有物件が複数階から成るものである場合、各階の図面が作成され、当該図面上において当該階における専有部分と共用部分が表示されます。また、各専有部分の区分所有物件に対する持分割合もこの時に定められて、登記されます。

Strata Planのサンプル(NSW州のもの)は、こちらでみることができます。これはStrata Plan全体のうちの4階(Level 3 – 注:オーストラリアでは1階はGround Floorと呼ばれ、2階がLevel 1と呼ばれます)の一部分であり、PT+番号」と表記されている部分が専有部分であり、「Common
Property
」と表記されている部分が共用部分になります。NSW州のStrata Planに関する詳細な説明は登記機関(Land & Property
Information
)が発行しているStrata
Plan Fast Fact
に載っていますのでご参照ください。

区分所有物件には、区分所有者の全員がメンバーとなる管理法人(Body Corporate又はOwners
Corporation
)が設立され、この管理法人が共用部分の管理等を行います。管理法人の意思決定は、管理法人の総会(区分所有者からなる会議)において決定されます。区分所有者は、その持分割合に従って管理費用(Levy)を管理法人に支払います。

区分所有物件には管理規約(By-Law)が定められます。この管理規約に従って、区分所有者は専有部分を使用し、また、管理法人の運営(共用部分の管理等)を行なうことになります。

以上がオーストラリアの区分所有法の概要になりますが、基本的な仕組みは日本の区分所有法とそれほど大きくは変わらないといえるかと思います。